福山諸聖徒教会 教会だより 2018年2月号 |
司祭 マルコ 平野一郎
沈丁花は中国原産で日本へ入ったのは室町時代と言われていて、花は寒い風の中で芽をふくらませていて、葉を落とした枯れ木の中で、芽を出す準備を進めています。
沈丁花はもっとも寒い時に、生命が吹き出す時期に、一番大きな力を発揮していると言われています。
波紋
相田みつを氏の「一生人生一生青春」という詩集の中に「波紋」という詩があります。
Tさんへ
Tさんなあ
あなたの気持
よくわかるけれど
いまはなんにも
いわぬほうがいいな
いえば弁解になるから
静かな池の水面にさ
小石をポチャンと落とすだろ
水面いっぱいに波紋ができるよね
その波紋を静めようと手で押える
すると押えた手のところへ
また新らしい波紋ができてしまう
だからね、波紋を静めるにはね
そのままにしておくことが
一番いいんだよ
あなたが弁解すれば
弁解したところに
また新らしい波紋ができる
苦しいだろうがね
いまはなんにもいわぬほうがいい
その代り、やることだけは
やっておくんだよ
あんなに降った雪でも
時期がくればいつか自然に解けて
土の中から水仙の芽が
ちゃんと出てくるものね
弁解やいいわけよりも
いま、ここで、やるべきことを
具体的にやってゆくことだね
雪におおわれた土の中の
球根のように
大きな前進と芽の吹き出しの前兆
沈丁花は寒い中で、芽を出す準備をしていて、相田みつを氏の「波紋」の詩では、厳しい状況の中でも、「いま、ここで、やるべきことを具体的にやって」いけば、「時期がくればいつか自然に解けて 土の中から水仙の芽が ちゃんと出てくる」と説かれています。
鈴木秀子シスターは「人は大きくジャンプする前に、身をかかげます。停滞しているように感じるとき、それは大きな前進の前兆の素晴らしい期間です」と述べています。
私達は時に厳しい寒さ、雪のような冷たさを感じる人生がありますが、しかし、その時には大きな前進、さらなる人生の芽を吹き出す前兆の素晴らしい期間であることを覚えたいものです。